iGEM (international Genetically Engineering Machine competition)は、2003年にマサチューセッツ工科大学で始まった国際生物ロボットコンテスト。学部生が主体となり、自由な発想で新たな機能をもつ生き物を作り出し、研究成果を発表する。過去の大会では、「赤血球のように酸素を運ぶ大腸菌」、「虫歯を予防する乳酸菌」、「紫外線を照射する度に色が変わる大腸菌」などが作られた。今年は21か国の大学・高校から112チーム、1200人もの学生が参加した。




初めての主体的な研究活動

東京大学チームが結成されたのは2008年の11月。生物系だけでなく、情報系や化学系の学科から、多様な背景を持ったメンバーが集まった。毎週ミーティングを開催し、実験計画を立て、夏休みには毎日実験を行うなど、必要な情報を収集しながらプロジェクトを1から創り上げるという、極めて貴重な経験をすることができた。

今年度の東京大学チームでは、「禁煙お助け酵母」、「高脂血症を治す酵母」、「時計を持つ大腸菌」、「低カロリーのパンを作る酵母」という4つの研究プロジェクトを立ち上げた。授業の合間に週数本の論文を読み、発表前の数週間は通常授業の後に、他キャンパスにある研究室へ移動し実験を繰り返した。実験計画を個々の操作に落とし込み、実際に行うという一連の作業を通して、研究の大変さと面白さに触れることができた。
発信の難しさ

大会本番では、15分間のプレゼンテーションと2時間のポスター発表の時間が設けられていた。普段、発信する機会が少ない我々にとっては、「何を」「どのように」伝えるかは、非常に難しい問題だった。特に、発表時間に制約のある場合、どこを強調し、どのようなストーリーで語るかによって、相手に与える印象は全く違うものになってしまう。発表の直前まで、より良いプレゼンテーションを目指して試行錯誤を繰り返した。準備とパフォーマンスの甲斐もあり、本番では自分たちの研究の魅力を大いにアピールすることができ、初参加ながら銅賞を獲得することができた。
ファイナリストを目指して

iGEMへの参加校はこれからますます増え、そのレベルも上がっていくだろう。分野を問わず、貴重な経験を積むことができる魅力的なイベントだ。東京大学チームでは、今回の初参加を経て自分たちの課題と賞獲得に必要なことを肌で感じることができた。この経験を活かし、来年はファイナリストを目指して邁進していきたい。興味がある人は、ぜひ参加してほしい。

最後に、私たちの活動を様々な面からご支援くださった皆様、特に資金面でご援助くださった野田産業科学研究所の皆様、株式会社日立ハイテクノロジーズ、東京大学新領域創成科学研究科の皆様、また記事掲載の機会を与えてくださった株式会社リバネスの皆様、本当にありがとうございました。 (文:寄稿)